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買取にもクーリングオフが適用されるってホント?その適用条件や申請条件は?
この記事では、買取にまつわるクーリングオフ制度について解説します。消費者が商品を売る「買取」にも、クーリングオフ制度が存在します。買取におけるクーリング制度やその申請方法、適用できないケースなど、買取のクーリングオフ制度について知っておきましょう。
目次
クーリングオフ制度について
ここでは、クーリングオフ制度について詳しく解説します。買取にもクーリングオフ制度が存在しますが、クーリングオフは消費者自らが意思表示しないと適用されません。クーリングオフについてしっかり理解して、しっかりと自らの身を守る術を知りましょう。
クーリングオフ制度とは
クーリングオフ制度は、契約の申し込みや契約の締結をした場合でも契約を再考でき、一定期間なら無条件で契約を解除できるようにする制度のことです。“cooling-off”というのは、激情を抑えて冷静になる、といった意味があります。人はつい、衝動買いをしてしまうこともあります。そのような場合に冷静になる期間を設け、本当に必要かどうかを判断できるようにした制度です。
買取におけるクーリングオフ
「販売」にクーリングオフ制度があることは、多くの方がご存知かと思います。しかし、「買取」にも同じように、クーリングオフがあることはご存知でしょうか。買取は販売と違って消費者が「売って」いるので、「買い戻し」ができる制度になります。この制度ができた背景として、自宅に事業者が訪問して宝石や貴金属などを買い取ろうとする押し売りならぬ「押し買い」が社会問題となり、消費者を押し買いから守るための制度が必要になってきたためです。
買取におけるクーリングオフでは、事業者に品物を売った場合でも、8日間であれば代金を返すことで無条件に品物を取り戻すことができます。ホームページに「キャンセル不可」と記載されていた場合でも、クーリングオフは適用されます。このようなキャンセル不可の違法な告知は法律で禁止されていて、処罰の対象になっています。
クーリングオフが適用されないケース
ただし、買取におけるクーリングオフはいつでも適用されるわけではなく、適用されないケースも多く存在します。まず、下記5品目については、クーリングオフが適用されません。
・二輪以外の自動車
・大型家電
・家具
・本
・CD/DVD/ゲームソフト類
・有価証券
また、「店舗買取」と「宅配買取」についても、クーリングオフが適用されません。店舗買取と宅配買取は消費者の意思で品物を持っていく、あるいは送る必要があり、事業者に強制されている可能性が低いためです。消費者には冷静に考える時間があるので、クーリングオフは適用外となっています。
店舗買取と宅配買取で査定金額に納得できにような場合は、査定の時点でキャンセルする必要があります。「面と向かってキャンセルするのは気が引ける」という場合は、宅配買取を利用しましょう。宅配買取であれば、メールでキャンセルするだけなのでキャンセルのハードルは非常に低くなっています。
クーリングオフの申請方法
ここでは、買取をキャンセルしたいという場合のクーリングオフの申請方法について解説します。クーリングオフの申請は簡単ですが、初めての方は何をすればいいのかわからないケースも多いかと思います。クーリングオフの申請方法を身につけて、納得できない買取をしてしまった際にあわてないようにしておきましょう。
クーリングオフの申請
クーリングオフの申請は、書面で行います。書面はハガキで問題ありません。クーリングオフは自動で適用されるわけではなく、消費者側から意思表示をしなくていけません。クーリングオフ期間内に、書面で事業者に対して意思表示をします。クーリングオフの期間は、申し込み書面または契約書面のいずれか早い方を受け取った日から8日間です。
書面に記載する内容は、下記の項目です。
・買取業者の名前
・買取業者の住所
・契約年月日
・品物の名前
・買取金額
・契約解除の宣言
・この書面を送付する日付
・自分の名前
・自分の住所
上記を記載して、事業者に送ります。万が一事業者に無視されてしまった場合に備えて、クーリングオフを申請した日がわかる記録を残しておきましょう。書面はコピーし、「特定記録郵便」「簡易書留」などの記録の残る方法で郵送します。あとは、事業者の反応を待ちます。
手続きでのチェックポイント
書面に必要事項は明記したか?
書面に上記必要項目がちゃんと記載されているかを確認します。
書面のコピーは取ったか?
書面のコピーを記録として残しておきます。
「特定記録郵便」「簡易書留」で郵送したか?
記録の残る方法で書面を事業者の代表者に郵送します。
クーリングオフを断られたら?
クーリングオフができる条件であるにも関わらず、「クーリングオフはできない」と言われたり、脅したりして妨害してきた場合は、8日間を過ぎていてもクーリングオフができます。
品物は返ってきたか?
書面を送ってから、品物がちゃんと返ってきたかを確認します。品物が返ってきたら、受け取った代金は必ず返しましょう。トラブルの原因になります。
関係書類は保管したか?
クーリングオフの関係書類は、万が一に備えて5年間保管します。
クーリングオフで解決できるトラブル
ここでは、クーリングオフで解決できるトラブルについて解説します。どんなケースでもクーリングオフが適用されるわけではないので、どのようなケースでクーリングオフが役立つのか知っておく必要があります。クーリングオフで解決できるトラブルについて知り、似たようなトラブルに巻き込まれたときにすぐ対処できるようにしておきましょう。
頼んでないのに買取業者が家に来た
依頼をしていないのに買取事業者が家に来て、「貴金属や宝石高く買います」と言ってくるケース。いわゆる押し買いです。特定商取引法で依頼なく訪問買取をすることは禁止されているので、このようなケースは無条件でクーリングオフが適用されます。違法であることを知らずに対応してしまい、売るまでなかなか帰ってくれなくて仕方なく売ってしまうということもありますので、このようなトラブルはクーリングオフで解決できます。
依頼した品物以外を売るようしつこく聞いてきた
基本的に消費者が依頼して買取をしている場合にはクーリングオフ適用外ですが、例えば家電の買取で依頼をしたのに、「いらない貴金属はありませんか?」「使わなくなったブランド品はありませんか?」など、依頼したもの以外の買取を事業者から勧めている場合は、クーリングオフが適用されます。ただし、このケースでは消費者から依頼している家電の買取に関しては、クーリングオフ適用外になります。査定額に納得できない場合は、その場で断らなくてはなりません。
まとめ
買取にもクーリングオフ制度が存在し、クーリングオフ制度を使うことで売った品物を返してもらうことができます。ただし、特定の品物や消費者から依頼をしているケースでは、クーリングオフは適用されません。クーリングオフ制度を利用するには、8日間以内に書面で事業者に意思表示を行う必要があります。
どんなケースでもクーリングオフが適用されるわけではありませんが、事業者に勧められて買取をしたケースではクーリングオフが適用されます。クーリングオフは自動的に適用されるのではなく、消費者からの意思表示が必要になります。自らの権利を守るために、クーリングオフ制度について理解しておきましょう